ONE PIECE 第256話

“『戦鬼』ワイパー”を読み返しました。

 

年寄り同士の妥協点の探り合いなんかで

おれ達が納得するとでも思ってんのか!!?

 

シャンディアの酋長と当時の神であるガン・フォールが共存に向けた話し合いをしていた、そこにワイパーが原理主義的な問答をぶつける回想。空にジャヤが吹っ飛ばされ、当時の神にその土地を奪われ、代々、故郷に帰れなかった。間違いなく被害者側である。年月が経ち空の民に取ってもその大地が生活に欠かせなくなってるから全ては返せない、とか言われてもそりゃ損害賠償が足りない。

 

罪を消したければリスクを負え!!!

死にたくない者を100人生け贄にして

首を差し出せ!!!

 

そんな事はできぬ!!!

 

とは言え、妥協点を探らせない、交渉条件は相手が飲める訳のないものと、ワイパーは結局のところ相手を滅ぼして決着させる気しかないように見えるし、エネルが現れず、ガン・フォールが神のままだった場合はそうなってた可能性は高い。シャンディアの酋長が指導力を発揮してないんだよな。

 

なぜか?

 

これが難儀なとこなんだが、ノーランドとカルガラの話の中でシャンディアが本来持ってた信仰、部族としての規範となるものをぶっ壊してるからじゃないか? となるところが難しい。年寄りの言葉を若者に聞かせるってのはそこに敬意なり畏怖なりがないと成り立たない現実。結局、戦うとなれば止められない。

 

ワイパーは強すぎた。

 

我輩…

カボチャのジュースが…

好物である!!!

 

ガン・フォールも言葉の選び方がちょっとね。目の前の血気盛んな若者にそれでなにを語りかけたことになるのか。実際のところ年月が経ちすぎてて溝を埋めるには共通の敵でも出てこないとって状況ではあった。

 

エネルも強すぎたんだが。

 

エネルがほどほどの悪党で空の民とシャンディアが協力すれば追っ払えると言うレベルだったらワイパーも思い詰めずに妥協点を探れたと思うんだが、結果的には完全にスカイピアを支配して、シャンディアは孤立した。

 

途中で倒れた者を

見捨てる覚悟があるか

仲間を踏み越えて

前に進める者だけついて来い!!!

今日おれは

エネルの首を取る

 

こうなってしまうところまで追い込まれた。ワイパーの判断が間違ってると言うわけではない。エネルが勝手に月へ旅立つと知ってたなら、あるいは待って疲弊した空の民から故郷を奪還することも考えられたかもしれないが、知る由もなく、目の前では圧倒的な力で強固な支配を完成させてる。

 

戦って倒すしかない。

 

ルフィたちが現れた混乱に乗じてでも。でなければ故郷を取り戻すどころか生存も危うい。アイサの宝物であるヴァースをぶち撒けたのもラストチャンスだと思っているからである。仮に敗れれば永遠に手に入らぬ憧れになるものには縋れない。

 

エネルは3時間後に5人まで減ると明言。

 

生き残り合戦、って表現を使い笑いながら喋ってるが、この男はかなり的確に状況と戦力を分析してる。ワイパーが命懸けの排撃を用いることも、それでシュラがあっさり脱落することも含め、驚くようなこととは思っていない。追い込んだ自覚があるのがヤバいところだ。