ONE PIECE 第224話

“夢を見るな”を読み返しました。

 

おれに一番高ェ酒だ

それとこのチビにも好きなモンを

 

麦わらのルフィ懸賞金3000万を狙って出てくる初の海賊ベラミー。まずは飲み物を奢るフリから、酒場のカウンターに頭を叩きつけて相手を本気にさせる。ドフラミンゴに憧れ、名を上げようってんで勢力拡大を積極的にしてる動きなんだと思う。

 

よォし…

覚悟できてんだな お前

 

ハハッハハハ!!!

こいつはケンカじゃなくてテストさ!!

来い 力を見てやる…

 

下っ端と呼ばれて『その質問にゃあ…お前が答えろよ』と例によって斬れる口が回るゾロも、ルフィも、誓いなんか気にせずケンカを買う気になってたけど、ベラミーの側からは格下の海賊の力を見て使えるようなら傘下に加えようってことだろう。

 

“新時代”の船員探し。

 

ナミが空島へ行く方法を聞いたら酒場がひっくり返るほどの大笑い。記録指針のことを言えばさらに笑われ、あのナミが少女のように恥じらって赤面する異常事態。そこにベラミーが親切に突き上げる海流の話をしたり、常識の範疇で偉大なる航路を説明したりする。

 

いいか…

海賊が夢を見る時代は もう終わったんだ!!!

黄金郷!?

エメラルドの都!?

大秘宝『ワンピース』!!?

夢の宝に目がくらんだアホ共は足元の利益に気づかねェ…!!

この海の時代に誰よりも強く海を渡れる野郎共が

ありもしねェ幻想に振り回されて死んでいく!!

 

黄金郷もワンピースも実在することがわかってる読者からすれば夢を追えないロマンのない海賊ベラミーの戯言なんですが、まぁ現段階までのストーリーを見るにこの言い分自体はベラミーの立ち回りとしては正しかった感もなくはない。別に海賊王を目指す訳ではない大海賊時代の海賊の生き方として、ない話ではないからだ。

 

だが、ベラミーは自分の言葉さえ実行できてない。

 

結論から言えば、ドフラミンゴに夢を見てたってことである。新時代と言う名のリアルな海賊と言う生き方さえ、だれかの言葉の受け売りで、それに土壇場まで気づけなかったのがドレスローザの一件だった。

 

このケンカは

絶対買うな!!!

 

当時は正直に言ってこの後の黒ひげのやりとりも含めてルフィのこのセリフの意味はよくわからなかった。買わないのはともかくわざわざボコボコに殴られてやる意味があるのかってことについて特に首をひねった。

 

今も物語としてもっと気持ちのいい形でケリがつかないか考える。

 

でも答えは確かにない。

 

ここでルフィがベラミーをボコボコに殴って勝ったとしてもそれはONE PIECEのストーリーの中で凄く後味の悪いものになるはずだ。ルフィは夢と冒険とロマンに生きてる。それはこの海で最も自由な海賊王になるためだ。その道のりに、それを否定するからと言って他人の考え方をボコボコにする行為はそぐわない。自分が自由であるためには他人の自由も認めるしかない。

 

そんな話なんじゃないかと思ってる。