ONE PIECE 第198話

“午後四時十五分”を読み返しました。

 

塵旋風。

 

コーザ撃たれるからの目くらまし。クロコダイル本人はここまでの話で宮殿から離れてないしなにかをしてる素振りもないのにこの絶妙のタイミングに持ってきた謎能力? 砂嵐のように砂漠から風を使ってと言うのでもないので理屈が不明。ビビはクロコダイルの仕業と断定してるけど、あれだけ自己主張が激しかったのにここではニヒルに笑うだけなんでもしかしたら偶然かもしれない。運がこっちに向いてる!とか思ってたら可愛いっすね。

 

両軍にバロックワークス入ってるんで遂に広場で衝突。

 

名もなきエージェントたちもこの乱戦じゃ死ぬかもわからんのに逃げないで任務遂行するの偉いよな。社長はだれも信用してないってのに。実際、両軍に潜り込んでるってことはいくらかはアラバスタ出身者でしょ? あんまり語られないけどダンスパウダー事件後にネフェルタリ王家を支持しなくなった住民からしたら、罠だとしても反乱で体制を打倒する一定の正当性がないとは言えない。火種は残るよなぁ。

 

逃げなさい!!!

ビビ!!!!

その男から逃げるんだ!!!!

 

コブラが遂に王としての立場より娘を優先するセリフ。ビビには『いやよ!!』と一蹴されちゃうけど、父親としたらギリギリまでよく我慢したよなとは思うところ。王女ではあるけど、実務やってた訳でもないはずの娘が国のために命懸けなのはよく育てたって感じだし(母親いないのに)その教育を自分でも実践してたとは思う。名君かは個人的には疑問あるけど、良い父親なのは間違い無いと思う。

 

砲撃を止めて犠牲者を減らす。

 

コブラが無理と見切った状況でまだこれを言うビビはちょっと跳ねっ返りが過ぎるんだけど、ここの作画は本編中で特に凛々しい顔で素敵なんだよねぇ。特にクロコダイルに首を掴まれてからの表情変化は最高。ゾクゾクしますね。

 

目ェ醒ませ お姫様…

見苦しくてかなわねェぜ

お前の理想論は

 

理想は実力の伴う者のみが口にできる現実で、全てを救おうなんて甘っチョロイ考えをしなければ何千何万の命は救えたと宣告するクロコダイル。実際、ここから砲撃阻止までの間にどんだけ死んだか、って話はある。見苦しく、理想を捨てなかった結果をどう受け止めたんだろうね? 七武海廃止の結果をどう受け止めるかって部分でもしかしたらこれから再びビビは痛感するかもしれない。物語の主戦場ではない、海賊王を目指さないボチボチの略奪者がのさばる海の平和は確実に乱れるだろうから。

 

お前に国は救えない

 

トドメの一言。嘲笑するクロコダイル。そこにペルの背に乗ったルフィが現れて物語は逆転へと動き出す訳だけど、ビビの無力そのものは否定されたままってところはこの作品の底にあるリアリティだと思う。ハッピーエンドを知ってて読み返すとフォローはされてないなって感じるところ。おでんがバカ殿だったりヴィオラのことだったり、本当に痛いところは痛いまま、海賊がなにかを救う訳じゃないという冷めた視線の存在が長編のバランスを保っている。