ONE PIECE 第155話

“海賊”サー・クロコダイル を読み返しました。

 

表の仕事。

 

王下七武海は海賊を潰す海賊。民衆の英雄。と言う基本設定に忠実になんか丸顔で豚鼻のドクロをマークにしてる名前すら出ない噛ませ海賊を狩る場面からスタート。偉大なる航路で海賊やってるのに七武海の戦闘力すら把握してない彼は蛮勇が過ぎるなぁ。

 

おォおォおォおォ!!

ちょっとナメすぎじゃねェのか!!?

てめェ一人で おれ達全員とやり合おうってのか!!?

権力に魂を売った“政府の狗”が!!!

英雄気取りで何のつもりだ!!!

 

体もまぁデカいし、剣も大きいのを持ってて、トラディショナルな海賊の出で立ち、港で略奪行為と海賊らしい海賊やってて七武海にも怯まない胆力。クロコダイルはロギア任せに飛び込んで剣に刺されて見せた上で海賊の格が違うとかなんとか、ブタ野郎とまで罵ってるけど、スナスナの情報を仕入れてて水に濡れた剣とか出されてたら普通に負けてる気もする。覇気使って来てたらガチで終わり。ちょっと仕事が雑じゃない?

 

カッコいいけれども!

 

実際のところ、派手に七武海の仕事をするのも本当の目的を隠すためなんだろうから、全力でナメプしてんだろうとは思う。政府の狗として従順に、そして気ままに、讃える愚民どもを罵ったりして野心を見せない。基本的にまぁナマってんだと思う。アラバスタって偉大なる航路の前半も前半で海賊のレベルが低いみたいでミホークは暇して東の海まで遠征するぐらいだし。

 

七武海の中では懸賞金が低いから末席感あるしな。

 

だからこそプルトンみたいな一発逆転ものを狙ってたという意味では海賊王を狙ってる感もあるんで人気出るのもわかる。本格的に強い悪いヤツでてきたぜって勢いあるもんな。絵の影の付け方とか特別待遇だし。国を乗っ取るとかスケールも大きいし。

 

で、ルフィたちは改めて目的を確認。

 

ルフィ当人はクロコダイルをぶっ飛ばしたらいいんだろ? としか言ってないんですが、ビビの方は暴動をおさえてバロックワークスを追い出すと比較的穏当な表現に留めてるあたり既に認識のズレは出てる。

 

実際のところ、証拠をちゃんと揃えて正式に世界政府に訴え出るとかした上で、七武海としての権限を剥奪して海軍に捕まえてもらわないと加盟国であるアラバスタが正規にクロコダイルを追い出すのはおそらく難しいんだよね。少年マンガなんでそんな話はしないんだけれども、大人になって読むとこりゃ面倒だわって立場を持ってるのが七武海。

 

認められた海賊で、しかも民衆の支持があるとかになると、下手すりゃ王家の暴走になるし、ネフェルタリ家はプルトンを隠し持ってる一族だから世界政府加盟国の中でも微妙なポジションな気がするし、ワポルみたいにシンプルに小国で権力振りかざして満足してるタイプより理想がありそうで厄介視されてる向きもある。

 

国王コブラ、神経質そうな顔だし。

 

この人が物分かりのいい国王だったからクロコダイルにつけいられた面は少なくない。ワポルタイプだったらたぶん追い出そうとしたでしょ、民衆の英雄とか好きに政治するのに邪魔だろうし。七武海としても外形上は世界政府に雇われてる海賊だから、加盟国の方から嫌がられると入り込むのにもっと時間をかけなきゃいけなくなってただろう。

 

いい王が必ずいい判断をしてる訳じゃない。この辺りの二重性をさらっと描いてるのはアラバスタ編のややこしいところでもあり、絶大な人気を得る下地でもあると思う。