ONE PIECE 第208話

“守護神”を読み返しました。

 

…ここまで探させておいて…!!!

砲撃予告をしておいて…………!!!

一体どこまで人をバカにすれば気がすむのよ…!!

どこまで人をあざ笑えば気がすむのよ!!!

クロコダイル!!!!

 

直径5kmの破壊力を持つ砲弾が時限式だった。時計台の高さ程度ではもはや爆発した時点で広場も町も終わり。砲撃地点探しからの奔走もすべて無意味に敗北が確定と言う状況にビビも嘆くしかない。まぁ、クロコダイルの側に正当なゲームとして相手に勝たせる余地を残す理由なんてないんだよな。

 

最終的にバロックワークスもここで消すのが最善だし。

 

国の乗っ取りが成功したらむしろ過去の部下は邪魔になる。その意味じゃエージェントをこの場に全員集めてないのは中途半端なんだが、まぁ本当に邪魔になれば自分で消せるって腹づもりだろう。しかし、クロコダイルの誤算はそう言う打算を捨てて行動する2人の男だった。

 

あいつが国を諦めねェ限り…

おれ達は戦う事をやめねェんだ!!!

 

ひとりはもちろんルフィである。毒でくたばる寸前なのは間違いなく、立ち上がってくるだけでもクロコダイルを驚愕させるに十分なんだが、この状況であのセリフが出る訳である。

 

おれは

“海賊王”になる男だ!!!!

 

アニメで聞きすぎているってのが演出効果を弱めてるきらいはあるにしても原作を読んでいく限りにおいては、ルフィがクロコダイルに勝つ根拠として口にする力強さがあり、毒針を直後にへし折って見せつける説得力は強い。

 

この海のレベルを知れば知る程に

そんな夢は見れなくなるのさ!!!

 

…おれはお前を…越える男だ…!!!

 

ここのやりとりは完全にルフィが夢敗れた男に引導を渡している。『てめェの様なルーキーなんざ この海にゃいくらでもいる』と言うクロコダイルのセリフが彼自身をほぼ指してると見切ったのか感じ取ったのか。読者的には超新星が出るまでルフィ相当のルーキーなんて見てないし、少年マンガとしては珍しいことにONE PIECEは明確な同格同年代のライバルを設定してない作品なので、このセリフによって目の前の七武海と言う格上だったものが引き摺り下ろされた瞬間でもある。

 

ビビ様 私は…

あなた方 ネフェルタリ家に仕えられた事を

心より

誇らしく思います

 

Mr.7ペアに撃ち落とされて遅れて到着したペル。砂砂団の秘密基地に幼いビビを叱ってビンタした思い出を思い返す3ページ。戦士としての強さにおいてはこのアラバスタ編でいいところを全然見せてないけれど、国を守るために、王家の敵を討ち滅ぼすために、一切の躊躇いなく砲弾を掴んで空へと飛び立つ。

 

くっそイケメンである。

 

生きてるオチを知ってても飛び立って離れていく4ページには涙腺が刺激される。すべてがカッコいい。最後に笑っている。死ぬ気だった。生き残ったのはまぁ幸運と言うヤツだと言うことにするべきだろうとも思う。アラバスタ編でこの人に落ち度は特にないからな。麦わらの一味もこの時点で砲弾に対してはまったく打つ手がない状況だった。物語の後味の問題だけである。まさかここから18年も続いてなんで死ななかったとか言われるキャラになるなんて作者だって想像するわけがないことだ。