ONE PIECE 第210話

“0”を読み返しました。

 

戦いが

終わる

 

あれの後に乱戦の中にいてよく死んでなかったコーザの手に落ちる雨粒。砲弾の爆風、ルフィの暴風雨によって押し上げられた地下の空気。天候棒でナミがやったことの極大版とも言うべき豪快な伏線回収ですが、一切の説明をせずに見せる辺りがオシャレ。

 

ビビの声が届く。

 

雨を巡る反乱。雨さえ降れば冷静にならざるをえないのがアラバスタ住人。ここにきて撹乱役のバロックワークスモブは仕事をしてませんが、やっぱ国民の中から参加してた人間なんだろうね。この辺ですっと存在感をなくし普通の国民に紛れちゃう悪意の描き方はドライだ。

 

遺恨が残らなかった、訳はないけど。

 

それはルフィたちとは関わりのない物語だし、あくまで視点は王女ビビにあるんだよね。海賊でありながら体制側って言う変なバランスがここにきて国民側の感情部分を上手くカットできるように機能してる。トトおじさんも国王シンパだからね。ネフェルタリ家の瑕疵については語らなくてよくなってる。

 

クロコダイルは敗れたし。

 

七武海と言う体制側についた海賊と言うイレギュラーの陰謀。裏切ったのはこの男だった、と言うスケープゴートに罪を着せて、国王と国民の相互不理解がなかったことになるのか? そんなこともないとは思うのだけれど、敗れた海賊は海賊であるが故になんの反論も許されないだろう、と読者は感じるし、実際おそらくそうだろう。

 

バロックワークスのやったことを考えたら。

 

首謀者であるクロコダイルや上位のエージェントより、アラバスタ国内に浸透してた奴らのやったことも裁かれないと計画が国家存亡の危機にまで発展することはなかっただろうからね。例とすれば、時計台に大砲と砲弾を運んだ民衆側、それを見逃した国王軍側、双方の協力がなければああはならない訳だったりする。

 

だからペルが死ねなかった。

 

国民の内側から出た悪意の結果であるが故にそれで彼が死んでしまうと取り返しがつかない。そんな視点を生きてた理由にするのもアリだ。ツメゲリ部隊? ああ、うん。本来は彼らも生き残るべきだよね。危ない薬物をちゃんと管理しない国王軍の責任者は、チャカ? イガラム? 部下の指導をちゃんとして。

 

今 降っている雨は…!!

昔のようにまた降ります

悪夢は全て…

終わりましたから…………!!!

 

このビビのセリフは王女として言うにはちょっとズレてて、それは次回で民衆に糾弾される。でもこれが緊張の抜けた言葉だと思う。クロコダイルが倒れた安堵から、ある意味でやっとビビの素がでてそう言うしかなかったとわかる。

 

礼を言う

 

いいィよ

 

崩れ落ちる地下でコブラがルフィに礼を口にするのも王としてと言うよりは人間としての言葉だとわかる。出来不出来はともかく、王家の人たちは張り詰めてたものをやっと吐き出せた落ち着きの話。戦いの終わりは静かだ。