はねバド! ローファーで木に駆け登るヤツのマンガだった16巻

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心が通じ合った最っ高に姉妹の2人がやっとまともな笑顔で!

 

天才とは、成す人だ。

 

完結はこの作品の辿った紆余曲折を綾乃の答えで気持ちよく終わらせてくれて本当に良い形でした。はねバド!のはねは羽咲綾乃のはねですからね。そして物語としてきちんと成してくれている。

 

コニーに対して素材的にも技術的にも上回った、ということではなく、インターハイ決勝に向かう心持ちにおいて固まってた、と言うのが読み終わって見ると凄く腑に落ちるところがある。

 

感情表現がアレなだけで綾乃だけが一貫してた。

 

コニーにしてもなぎさとの戦いで一皮向けてすっきりと決勝に挑んだぐらいで、綾乃が戦った全員がそれぞれの迷いと見えない道行の中をもがいていたんだなと言うのがやっとわかったと言う感じ。ローファーで木に駆け登ると言うマンガ的な導入から、綾乃だけが成す人間として物語に存在していた、と言うことに絵柄や作風の大きな変化まで飲み込んで落としどころを見つけたのは素晴らしいなと思う。

 

おそらくアニメに感謝してるのも嘘じゃない。

 

あとがきの直筆メッセージで一行しか触れられてない辺り、改変の仕上がりと評判に言いたいことはあるに違いないとは思うんだけど、結果としてこのマンガの原点である部分を拾い直して、終わりへと結び付けられたきっかけになってるんじゃないかなとは感じる。

 

ある意味で意欲を燃やせたんじゃないだろうか。

 

物語全体においてひたすらどんな親だよと言う扱いになってた有千夏さんがほぼなにも語らず退場したのは賛否あると思うけど、アニメで中途半端にまとめられた結果として、描く必要ないってなった可能性は高いと思う。なに言ってもダメ親でしかないからもう娘たちが納得してるってことにしかできないって判断。逆にもう1人の娘なのにアニメでカットされ果たして出番あるのか心配してた王麗暁が出てきて姉妹たちの物語としてのエピローグに華を添えられた感があるし。

 

作品の質が変わったのは綾乃対王の試合だもん。

 

あそこからひたすらバドミントンの熱戦がはじまってる訳で、そのお膳立てをしてるのがダメ親なんだから、このマンガの面白さはダメ親なしには語れないんだよ。ダメな親でも子は立派に育つこともあるんだ。綾乃の性格の悪さもバドミントン選手としては才能なんだ。

 

与し易さを見つけた

 

決勝のコニー戦はほぼ試合の駆け引きではなく物語の終わりへと向けた仕掛けになってるんだけど、第三者的ナレーションで綾乃の悪い笑みをひとつ置くだけで主導権を握ったのがどっちかを成立させてるのはほんと稀有な主人公だと思う。ふてぶてしい性格を魅力に変えるのはなかなか難しいことだ。

 

なぎさちゃんはコーチ付き合うとこまでいかなかった。

 

立花コーチそれはどうなのよ? あの告白は大クライマックスだったのにそれから見た目がだれかわからなくなるぐらいなぎさちゃんが女の子になってて手を出してないってどんな自制心だよ。綾乃が国内最強に君臨してしまったので日本一おめでとうカップルに至れなかった? ああ、区切りが、ね。

 

津幡さんが順当にこじらせてるのとか、益子が益子過ぎるとか、重盛ちゃんコンビがまだバドミントンやってるとか、微笑ましいエピローグは作品初期の空気感も残ってるようで楽しい感じ。薫子ちゃんのネタも掘り返され、最後までライバルやってくれてよかったなってなるしね。

 

カバー下もあの空気。

 

アニメが成功してもっと売れていい原作だったと思ってるけど、次回作への意欲が燃えてるなら期待できる作者だと思います。頑張ってください! あと少しだけ女性キャラの顔のパターンは増やして欲しいですが。大学生なぎさちゃんマジで志波姫にしか見えん。津幡とセットだとほんと。