“ヒルルクの桜”を読み返しました。
満月はソリを引くチョッパーの絵のため。
やたらでっかい月に浮かび上がるシルエット。こう言う描きたい絵が先行する話ながら、そこからさらにもう一段階盛り上げる回。ドラム王国のすべてが綺麗にまとまる桜がたまたまだったとかは正直言って信じ難いよね。
チョッパーは海賊になることを報告。
Dr.くれははそれを聞いて怒り、かなりの正論で止めようとする。助手であること、医術を教えた恩を感じてないのか、立派な城に住めるのも良くないか、海賊なんてロクなもんじゃない、すぐ屍になる。保護者として至極真っ当なことを言ってます。
だがそれでもいいと食い下がるチョッパー。
ナマイキ言うんじゃないよ!!!
たかだかトナカイが海へ出るなんて話
聞いたことないね!!!
そうだよトナカイだ!!!
でも!!!
男だ!!!!
冒険の対義語は母。そう豪語する尾田栄一郎の描く親離れ。母親不在のキャラが多い中なんで、これ一回きりみたいなところもあるけど、ウソップの母との死別のリピートなところもあるね。あらゆる心配事も男だから!で押し通す。少年マンガのストロングスタイルです。賛否はあると思うけど、まぁ男子に読ませるために描かれてるんだから冒険は男のロマンなんだ、と。
お前なんかが海に出て一体なにができるっていうんだい!!!
あのヤブ医者のように幻想に生きるのかい!?
包丁を投げまくりながら問いかけるくれは。しっかりとヒルルクの研究成果を受け取っていながら、そのことをチョッパーには告げずにこんな日が来たときのために準備してたとかツンデレババア過ぎる。ドルトンに湿っぽいのは嫌いだドルトン言った後にサングラスかけて涙目を見せないのもホントね。預かってたペット以上の感情はあったはずだし、ヒルルクとは違った医術を叩き込む二人の生活はあったはずなんだけど、そこは回想されない。冒険じゃないから。
ヒッヒッヒッヒッ…
バカの考えることは理解できないよ…
そう言いつつ赤い塵を量産してるんだからいい母親です。そしてバカ息子を送り出す。幻想ではなかったことさえ伝われば十分なんだろう。ロマンは理解できずとも、ヒルルクとはチョッパーの間にある繋がりを尊重する。そう言う物語。ヤブ医者の心と魔女名医の腕を手にしたトナカイが万能薬になれるのか。
万能薬に。
なって欲しいんだけど、どーも近年のチョッパーの活躍がマスコット要素に食われて思わしくないんで、ワノ国では大活躍して欲しいところですよね。ゾオンとしても医者としても、スマイルの副作用はおそらく治すだろうけど、そこがどう物語のキーになるか。