ONE PIECE 第76話

“ねる”を読み返しました。

 

島を出る気はねェし

この島で何が起きてんのかも興味ねェし…

ちょっとねむいし

ねる

 

ルフィの名台詞として選出されるかどうかはわかりませんが、個人的にはすごく印象深い台詞。今の視点から見るとこの基本スタンスこそがルフィの自由そのものなんだよね。

 

海賊だから相手の立場に遠慮しない。

 

ナミの事情を聞き、この時点で一億ベリー貯まる直前で村を買えば解決、みたいな話に乗っかっちゃう流れは物語的にアーロンと同格の海賊になっちゃうんで避けたいし、かと言ってルフィの側が戦って村を切り取る流れもそれをやりだすとある種の正義を掲げることになるので革命軍だろってなっちゃう。

 

ルフィはやりたいようにやる男だ。

 

それを端的に示すのがナミの拒絶に対する対応拒否の「ねる」である。少年マンガとして扱うにはややこしい問題を取り上げがちな作品内容を主人公としてはシンプルにまとめる究極解だと思う。

 

この作品成功の最大の鍵だったと思ってる。

 

あらゆる島でそれぞれに深刻な事態が起こっていて、相当の悲劇もあるのに軽やかに冒険をつづけられるのはこのポジション取りを身内に対しても行えるのをここでハッキリ示しているからに他ならない。仲間とか絆とかに傾倒しがちと言われることの多いONE PIECEだけれども海賊としては現実的でクールな態度があるからこその落差という面を見失うとたぶん似たようなものは描けない。

 

まともなフォロワーが不在なのもこの辺りが理由か。

 

話は逸れるがNARUTOが「わかるってばよ」に至ったのはルフィの逆を狙ったからではと思ってるところもある。同じ雑誌で似たスタンスじゃ差別化できないから仕方ない面もあるが、なんでもわかろうとしちゃうと言葉を曲げない宣言が作品的に重い縛りになってたとも思う。面白味のない父親に落ち着いてしまったナルトを見るともう少し自由に生きればよかったのにと感じるが、最初から目標が一種の政治家である火影だった時点で避けようのない結末だったかとも。

 

…勝手にしろ!!!

死んじまえ!!!

 

このナミの台詞は相当に無理が入っていてどぎつく、一気にこじれそうだけどウソップがすぐ合流してギャグに戻してくれるので話がスムーズに流れるのも初期尾田栄一郎のセンスの良さだと思う。ナミが仲間なのはもうわかり切ってると言う読者への信頼の厚さとも言い換えられるが。

 

ゾロとサンジはもうケンカしかしてない。

 

てめェひっこんでろ!!

話がややこしくなんだろうが!!!

アンだとコラ

恋はいつもハリケーンなんだよ!!

 

仲間として最初の会話でこれである。ウソップの顔面を挟む攻撃もそうだし、絶対に張り合う男同士と言う設定が固まりすぎてる。あとハリケーンは狙ったわけじゃないだろうけど、恋愛を主軸にしない作品内で恋愛を扱う場合にすごく便利なことわざになったな。ハリケーンじゃしょうがないもんな。

 

天気には勝てない、ナミ最強説。