作者は細かく笑いを取らないと気が済まないらしい。
その意気や良し!
いや、ちょっと出番が減った宿儺さんがお触り禁止のお店の娘になってんだけど!? そのくらいの気難しさか、例えとしての厄介さはとても伝わるね!
デジタル作画ってのに驚いた。
こんな手書きみたいな荒々しい線を演出できるんだ。ほえー。ってな感じで、細かいギャグと厳し過ぎるシリアスを上手くバランス取ってジャンプ読者に提供してウケてるのは天才肌だなと思うところ。東堂の爆発力は次巻だけど、こんなキャラを動かすのが凄いと思ってる。ライブ感なのか、きっちり設定固めてきてるのか、吉野順平のプロフィールとか読んでると後者っぽいのがまた凄い。
里香の設定も嫌な意味で納得感あったもん。
真面目なんだろう、と思う。
呪いを描く、ってやっぱり人間の昏い部分を避けられない訳で、ある意味で少年マンガとの相性は良くないんだよね普通は。ヒット作のほとんどはそれに目を瞑って描かれてる。意識的か無意識的かは作者によるところだけど。ONE PIECEはかなり意識的に消してる部類だと思う。
戦略的には正しい。
スッキリしない少年マンガなんてウケないのだ。どれだけ評論家が褒め称えたところでデビルマンが少年マンガのスタンダードにはならない。デビルマン褒める十代の少年とか可愛くないと思うしね。自分の過去を省みても。
ルフィはバカでいいし、ナルトにはわかるってばよしてもらわなきゃ困る。BLEACHはオシャレでなきゃいけないし、悟空は悟空であるべきだ。
で、このマンガはスッキリはしない。
冷静に話を追うと淀みがある。
感情のしこりみたいな、重たいものがどうしても残る。うまく消化はしてない。これ長い目で見たら絶対どっかで無理が出る。下手すりゃもう無理かも知れない。ただ、そこに笑いのセンスがあるとなれば、ちょっと変わってくるという話だ。
本誌での東堂の暴れっぷりはぶっちゃけ主人公を喰ってる。これだけ喰わせるとなると死ぬ予定のキャラかなと思うぐらいには突出した。死んでしまえばあれもこれも伝説なのでやりたい放題だと言われれば納得もする。
でも殺すべきじゃないかも知れない。
シリアスなストーリーにこそギャグが必要なのだ。ヘイトは集めるかもしれないが、生かしてギャグキャラとして残すべきだと思う。ドラゴンボールが敵のデザインでリアルになり過ぎない娯楽バトルの一線を守るように、東堂はオチを担当すればいい。
悠仁はちょっと重いものを抱え過ぎてる。
そこが魅力ではあるけど、少年マンガのバカさに引き戻してくれる奴は必要だ。偶数巻は女のタイプを訊くマンガ。そんなお約束があってもいい。いくない?