宇崎ちゃんは遊びたい! はそもそも性的な作品じゃない

f:id:kitsunejimahondo:20191019162225j:image

献血ポスターを巡って白熱してるはてな界隈だけれども、あんまり作品内容を語ってるコメントを見かけなかったのでいち読者として言いたい。

 

宇崎花(タイトルヒロインの名前)は胸がなかったら女とも思えない娘だ。

 

からかい上手の高木さんがヒットして以降、一気に増えた特定のカップル未満が恋愛未満でイチャイチャすることを読者が眺めて楽しむマンガ群の中でも、宇崎ちゃんは異彩を放つぐらい女性としての押し出しが弱い。

 

むしろ胸がなかったらただウザい。

 

と言うとやっぱり性的なんじゃないかと言われるかもしれないが、これはあくまで読者目線の感想である。このマンガの内容は普通の男子大学生先輩後輩同士が遊んでる、としても特におかしくない程度のことしかしてない。二十歳になったから一緒に酒を飲み、ゲロする。おわり。みたいな感じだ。この話が性的な訳がない。

 

性的じゃなさすぎてつまんないぐらいだ。

 

ただ、宇崎花は主人公である先輩に好意を寄せているが、ウザ絡みする性格なので恋愛まで発展しない。と言う前提をもとに予定調和を楽しむマンガなので、これでいいのである。布団でゲロを吐けば男の家で酔い潰れて寝ようとも性的には展開しない。

 

それだけだと読者に目の保養がないので胸がある。

 

作者も描く胸がどんどん大きくなっているのでそう言う嗜好はもちろんあるだろうが、この作品においておっぱいが果たす役割は度を越すかもしれない宇崎ちゃんのウザさに対する(読者にとっての)緩衝材である。それ以上でも以下でもない。

 

先輩はウザすぎる後輩をおっぱいで許している。

 

とは描かれていない。あくまで許してるのは読者だ。先輩は徹底的に宇崎ちゃんのウザさを指摘するし、ウザさにイライラしているし、場合によっては罵倒もする。なんでも言い合える友達の距離感で、時々ほんの少しだけ宇崎ちゃんのウザさに隠されたいいところを見つけて恋愛へと発展しそうな雰囲気は醸し出す。そこに胸の大きさは関係がない。

 

むしろ宇崎ちゃんが巨乳であることは先輩との関係においては本音で言い合えない障害にすらなっている。ふと目がそこに向いた時に女を意識してしまうから遠慮のない友達のレベルから先にも後にも動けないと言うのがこの作品を成り立たせている微妙なバランスなのだ。

 

献血ポスターのセリフは男子小学生レベルの煽りである。

 

おっぱいに目が向いて性的なポスターだと言ってる人はまんまと宇崎ちゃんの罠にハマっている。くっだらないことでマウントを取り勝った負けたする男同士の会話と基本は変わらないのが宇崎ちゃんなのだ。そこに目が眩むようでは本質を見抜けていない。

 

献血が怖いか? 怖くねぇし。

 

献血はやるべきことか?  やるべき。

 

正しい読者はウゼェと言いながら献血する。そしたら宇崎ちゃんは良いことをしたことをウザく褒め称えてくれるだろう。たぶんイラっとする。そこに性的なニュアンスなんかあるはずもない。うるせぇ献血なんか普通のことだよ。と言いながら善行を心の中で誇って男の子は満足する。

 

善いことをするのは気持ちがいい。

 

あのポスターにセクハラの意図がないのはそういうことだ。ウゼェ後輩がうるさいから仕方なく善行をする。仕方なくな!と言う男の見栄を満足させてくれる良いコピーなのである。それがわからないのは女だな、と一定の理解はするけれども。

 

男と女の生き方が違うことまで否定はすまい。