ONE PIECE 第130話

“最高速度”を読み返しました。

 

異常気象による発病。

 

偉大なる航路に突入した船乗りが必ずぶつかる、とのビビの説明。そりゃ雪は降るわ春一番は吹くわでは風邪ぐらいひかないと人間とは言えない。が、ルフィを筆頭に男連中は病気にかかったことがなかった。一般人枠のようでウソップでさえも。

 

サンジすら医学はかじってない。

 

バラティエに船医がいた様子もないし、病人食のレパートリーもありそうな口ぶりだし、ゼフ辺りは最低限の心得がないと変な環境のような気もするけど、まぁ、あそこのコックも病気にかかるタイプじゃないなONE PIECE世界的に。

 

この辺りの病気に関するやりとりはなんだか妙に親切で、栄養摂取の話だとか、航海中の日常生活を多少なりとも感じさせてくれます。実際、船乗りネタとか、航海あるあるみたいなのって壊血病ぐらいしか触れなかったよね。そこのリアリティを掘り下げる気がなかったのか、ジャンプマンガとしては人気が取れないと言う判断か。船を描くにあたって調べてるだろうに抑制的である。偉い。

 

しかしナミは自分の病をおして進もうとする。

 

アラバスタでは国王軍の兵士が30万人も反乱側に寝返って一触即発と言う新聞報道。時間の余裕はない。ビビの不安まで慮るナミは既に相当に感情移入してるよな。自分と重なるところもあっただろうし。

 

しかし実際に到着したときはそこまでギリギリじゃなかった。今ならモルガンズが確実に暴動を激化させようと煽ってたな、って思うところかもしれない。辻褄がこんな遠くでも合う。怖い長期連載だ。流石にモルガンズの設定が初期からあったとは思わないんだが、主題ではないとは言え、普通にマスコミは嘘を書く前提でそこを掘り下げずに物語を作ってるってのは少年マンガらしからぬリアリズムである。

 

そもそも世界が歪んでる設定だから当然?

 

間に合わなければ百万人が無意味な殺し合いになる。嘘か本当かわからないマスコミの煽りに焦るビビは、この船の最高速度でアラバスタへ進んで欲しいと言う。ナミの病気を治してから、アラバスタへ。医者探し優先。

 

ここで病気しない三人の微妙な表情がいいよね。

 

事情は把握してるし、だからナミが強がるのもわかっているからこそ、ビビの口からそれを聞きたいと口にしない間。船に乗ってからリトルガーデンで一気に仲間になってる信頼感。これがあるからこそ後にルフィとのケンカもできる訳です。