ONE PIECE 第99話

“ルフィが死んだ”を読み返しました。

 

わりい

おれ死んだ

 

にぃ、と死刑台で笑う回。バギーがハデ死刑を宣言してからルフィの表情が出るコマは10コマ。自分が死刑にされるとは思ってなかったところから、謝って命乞いしたり、ぶすっとしたり、おれは海賊王になる男だ、のところも表情の余裕がなかったり、抵抗したり。

 

サンジ!!! ゾロ!!!

助けてくれェ!!!

 

仲間を見つけて笑顔になってるコマの次ではもう助からないことを理解した表情で、冒頭に引用した覚悟のセリフに繋がる訳ですが、ルフィのモノローグは例によってないので、この一瞬の間にどんな覚悟に至ったのかはわからない。

 

海賊としてはまだ何も為してないのに。

 

ONE PIECE全体のストーリーにおいてこの段階で生かされるルフィを描きたかったと言うのは主人公補正と揶揄されがちな主人公の死ななさをこの世界における主人公の存在の必要性へと意識的に置き換えたんだと言えると思う。でも、ルフィが覚悟の笑みを浮かべる感情の動きは実はよくわからないままだ。

 

ロジャーが笑ったこととは明らかに違う。

 

病に侵された身体で、自ら捕まることで仲間を守り、自分が見たひとつなぎの大秘宝の存在を世界に知らしめて死ぬ男が満足の笑みを浮かべるのは想像しやすい。同じく死刑台から仲間に助けられつつ死んだエースも最後までくいを残さずに生きたが故の結果なので笑みになるのはわかる。

 

ルフィはまだどこにもたどり着いてはいない。

 

この話のスモーカーが先走ってルフィをロジャーになぞらえるもんだからなんか読者的にも伝説として納得しちゃう向きがあるけど、ここのルフィの心境は相当に不自然なのだ。

 

なははは

やっぱ生きてた

もうけっ

 

落雷によってバギーが焦げ、ゴムのルフィは無傷。バギー一味は呆然、サンジは神を信じそうになる。異常な幸運なんだが、ルフィのリアクションはあーよかった程度。ここの温度差はなんなんだろう。

 

ルフィはこれからも死ぬような目に何度もあう。

 

ただ笑顔で死にかけたのはこの時だけだったと記憶してる。他の場面では大体がなにか目的に向かっている途中で、笑って死ぬような状況じゃないからだが、ならば海賊王になれないこの死は覚悟できるものだったのか?

 

本当にわからない。

 

ルフィが本当に死ぬのがONE PIECEのラストシーンじゃないか、と言うことはずっと思っている。少年マンガのラストとしてはあまり好ましい落とし所じゃないが、寿命を削りつづけて戦うことを繰り返し示唆して、男が死なずに終わる話とも思えない。死刑になる、ではなく、ひっくり返った世界を見て満足の笑みで海賊王として死ぬだろうと思ってる。

 

この時の心境を含めて語ってほしい。

 

だれに語るか、仲間に見守られて死ぬのも違うんじゃないかなど、イメージとして固まってないところは多いけれど。ルフィの心境をルフィが語ることがやっぱりクライマックスな気はする。